影を、辿れば。


花が落ちて、葉が揺れる。
季節の刃が、首筋を撫でる。
脆く、危うく、強かに。

雨の音に、耳を澄ます。
黒い猫の、声がする。
貴方がくれた、細い、声。



理性の箍を外さなければ、話せないこと。
応えようとすればする程、形に出来ずに。
響くのは、余韻。
貴方のくれた、言葉の、声の、確かな、余韻。



風が吹いて、陽が刺さる。
愛する季節は、遠いまま。
甘く、甘く、鮮やかに。

雨の音に、耳を澄ます。
黒い猫の、声がする。
そうして私は、震える指を、貴方に伸ばす。



04/25 10:43 | 夜の雨 | CM:0
鉛の空を。


千切り、結わえ、祈る。
擦り切れては、繰り返す。
それで、次は、何色の風が吹くのか。


身体の空が大きくなる。
失われる、密度。
喰われる箇所すら、無いのなら。


冷たい雨が、体温を教える。
指先に触れるものは、全て壊れてしまうだろう。
全て、壊れてしまったのだから。


甘い眠りは、訪れない。
愛する季節に、瞳を閉じれば。
煌めいては散る、虚無の言の葉。



10/28 12:11 | 重ねる言の葉 | CM:0
夢と、知りせば。



長い、夢を見ている。
それは、終わらないと云う、夢。


永い、夢を見ている。
それは、変わらないと云う、夢。


先刻の出来事が、前世のように懐かしく。
遠い過去の記憶が、今時分に生々しい。


貴方と最後に声を交わしたのは、いつのことだったか。
夢と知っていて、夢と知らぬ振りをしたのか。


未だ、夢を見ている。
否、夢を見ている、夢を見ている。


もし、再び、逢えるのなら、等と。
愚かなことを、口走らぬよう。



10/27 09:55 | 重ねる言の葉 | CM:0
痛痒の罅。


言葉の消えていく日常が、時間を喰い荒らしていく。
毒が皮膚から噴き出して、思考を奪っていく。


嗚呼、そう。
爪を立てて、血が出るまで。


悲しくなる程に堅固な理性が、衝動を飼い馴らす。
終わりもなく、只、耐えるだけとしても。


通り過ぎた人たちは、皆、幸福だろうか。
そうなら、良いけれど。


忘れ去られた、果ての、果て。
この醜い身体では、その向こうにも、居場所は、ない。



08/31 12:49 | 重ねる言の葉 | CM:0
窓の外。


蕩ける陽射しに、重ねる面影。
貴方は、いない。


静かで、何もない日常。
静かで、誰もいない日常。


夢と現が混ざり合う。
言葉は飽和し、季節に溶ける。


孤独は甘いか、それとも苦いか。
舌に残る、罪に似た味。


無い物強請りと、声がした。
今日も何処かで、蝉が死ぬ。



07/25 09:05 | 重ねる言の葉 | CM:0
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